本福寺水御堂は、淡路島にある安藤忠雄さんが設計したお寺です。平安時代後期に創建されたと伝えられる真言宗御室派の寺院となります。楕円形の円柱コンクリートの構造物に巨大な水盤が載せられています。
水盤は蓮池となり夏に大賀ハスやスイレンが美しく咲き誇ります。仏教の原点となる蓮の中となる地下に本堂があります。宮殿は東向きに設置されています。格子窓から西方浄土の自然光が差し込みます。
朱色の壁に囲まれて乱反射して御本尊の薬師如来像が朱赤に染められます。極楽浄土が出現するという演出です。厳かで神々しい神聖な空間となります。西方浄土に向かって参拝するありがたいお寺です。
本福寺水御堂の基本情報
- 住所:〒656-2305 兵庫県淡路市浦1310
- 電話:0799-74-3624
- 営業時間:9:00~17:00
- 定休日:無休
- 拝観料:大人400円(中学生以上)、小人200円(小学生以下)
- 駐車場:無料(普通車約30台、大型バス約5台)
- 正式名:佛照山本福寺
- 山号:佛照山
- 宗旨:真言密教
- 宗派:真言宗御室派
- 寺格:別格本山
- 創建年: 平安時代後期
- 本尊:薬師如来像
- 文化財:薬師如来像(淡路市重要文化財)
- 札所など:淡路四国八十八ヶ所霊場 第五十九番札所
- 設計者:安藤忠雄
本福寺水御堂の外観と内観
本福寺は、真言宗御室派の総本山「仁和寺」の末寺となります。平安時代の後期に創建された古刹と伝えられる真言密教の寺院です。真言宗は、空海(弘法大師)により開かれた大乗仏教の宗派です。
真言宗は御室派は、現世の一事一物が法身の大日如来の説法であると説いている古義真言宗に属しています。なお、仁和寺は京都府京都市にある「御室御所」と称されています。「古都京都の文化財」として世界遺産に登録されています。
水御堂は、本福寺の本堂として安藤忠雄さんの設計により1991年に建立されました。敷地面積は約3000平方メートル、延床面積は約400平方メートル、地下1階建てとなります。
1993年に第34回建設業協会賞を受賞しています。1995年に阪神大震災が発生しましたが安全だったそうです。水を使用できたり、避難所に利用できるそうです。
境内からは、大阪湾を一望することができます。眼前には澄み切った青空と穏やかな海原が広がります。背後には淡路島の緑の山々が控えます。
淡路四国八十八ヶ所の第五十九番霊場となっています。淡路四国八十八ヶ所めぐりは、四国4県に至る八十八カ所めぐりと同じ効果があるといわれています。
淡路島の空海(弘法大師)ゆかりの88カ所の寺院の総称です。淡路遍路といわれ、淡路巡礼や淡路巡拝とも称されます。お遍路さんが淡路島を巡礼や巡拝で訪れています。
1999年に「阪神淡路百名所」の一つに認定されました。阪神淡路百名所は、阪神・淡路地域にある全国的・世界的に話題となる名所、ユニークな特色をもつ個性豊かな名所です。
ひょうご文化100選にも選ばれています。地元ひがしうら名勝地となっています。
駐車場から水御堂まで
駐車場から正面の石段を登ると本福寺の講堂があります。本福寺の入口には「別格本山本福寺」と書かれた石柱があります。講堂の隣には弘法大師の石像があります。
本福寺の本堂となる水御堂へは、講堂を向かって右側の道を進みます。墓地の横を通過します。墓地からは、ラジオ関西の淡路島エリアの送信所となる電波塔が見えます。東浦の海を眺められます。
「本堂」と書かれて左方向の矢印を示した看板があります。「お静かに」と書かれています。
看板には、拝観料が大人400円、小人(中学生以下)200円と書かれています。30名以上で団体割引2割引となります。堂内の拝観時間は9時から17時までとなります。水御堂は禁煙です。
左折すると石碑が並んできます。小坊主の石像もあります。さらに進むと、雑木林に囲まれて砂利が敷かれたアプローチがあります。
安藤忠雄さんの独特の建築手法となるコンクリート打ちっ放しの壁が現れます。アプローチの先に入口があります。本福寺の本堂となる水御堂の入口となります。なお、入口の反対に鳥居があり神社があります。
コンクリート打ちっ放し大きな壁で、世俗と聖界の境界を表現しています。曼荼羅(マンダラ)の巨大な門といえます。門をくぐると曲線のコンクリートの壁が現れます。
カーブしながら裏側に回り込むとコンクリート構造の楕円形の人工池が現れます。
蓮池
本福寺水御堂(ほんぷくじみずみどう)は、屋根の部分が水盤で人工の蓮池となっています。蓮池は、直径40メートル、短径30メートルの大きさとなります。
蓮池には、睡蓮や大賀ハスが一つ一つ丁寧に植木鉢に入れられています。
短径の中央が真っ二つに割れています。水面を切り裂くように地下に続く直線の階段があります。蓮池の真下には、朱塗りの木造で円形状に覆われた本堂があります。
水面には澄み渡った青い空が映ります。階段を下りるのですが、空に上がるような感覚になります。階段を進むにつれて目線と蓮池が一緒になります。以降は池に潜るような感覚になります。
人工と自然の共生をテーマにしている安藤忠雄さんらしい仕掛けといえます。蓮池の階段を下りると左右の通路があります。右側が本堂に続きます。左側がトイレと立ち入り禁止の部屋となります。
人工の蓮池には、スイレン(睡蓮)とハス(蓮)の花が咲きます。仏の世界を美しく醸し出しています。
スイレン(睡蓮)は蓮池の水面に花を咲かせます。スイレンは水生植物で朝に咲き、午後に眠るように花が閉じることから、名付けられました。水に浮かぶ葉っぱに切れ目が入っていることが特徴です。
5月から8月まで、赤色や白色、黄色やピンク色のスイレン(睡蓮)が一面に色鮮やかに咲き乱れます。本堂の屋根を兼ねている蓮池を幻想的に水面を彩ります。
6月から7月までの夏は、ハス(蓮)の種類で大賀ハスが大輪の花を咲かせます。大賀ハスは、約2000年前の地層から発見された古代ハスとなります。スイレン(水練)より高い位置で花を咲かせます。
なお、本福寺は、あわじ花へんろ第6番「花の札所」となっています。あわじ花へんろとは、一般財団法人「淡路島くにうみ協会」が指定する淡路島の花の名所です。春には参道に桜が咲きます。
淡路島で花と緑あふれる公園島淡路を目指した「花の名所づくり」です。花の島「淡路島」の魅力を体験してもらえるよう、代表的な名所・景勝地・観光施設を紹介しています。
本堂
本福寺の本堂となる水御堂は、蓮池の地下にあります。入口には受付があります。拝観料の大人400円、小人(中学生以下)200円を払います。
本福寺水御堂の資料とチケットが渡されます。なお、受付が不在の場合は拝観料を箱の中に入れることになります。御朱印(御納経)は大小とも300円となります。
受付に、設計者 東京大学 安藤忠雄教授と落慶日 平成3年9月14日と書かれた板があります。
受付の並びに、弘法大師が描かれた額が飾られています。本福寺水御堂を彷彿とされる美しくて大きな睡蓮や大賀ハスが咲いている池に弘法大師がたたずむ構図となっています。
淡路島出身で南画の第一人者だった直原玉青さんの作品です。なお、南あわじ市には、直原玉青さんの個人美術館となる南あわじ市滝川記念美術館 玉青館があります。
本堂には靴を脱いで上がります。外側は外壁となるコンクリート打ちっぱなしの曲面の壁で覆われています。内側には外壁コンクリートに沿って朱色に塗られた木造の建物があります。
曲がった回廊の先に本堂の内陣があります。内陣からは撮影が禁止となります。回廊のみ撮影が許可されています。朱塗りの空間の奥に宮殿があります。御本尊となる薬師如来が祀られています。
右側には弘法大師の坐像、左側には不動明王の立像が祀られています。内陣の朱塗りの壁に沿ってイスが並べられています。宮殿の天井は、当初蓮池の底が眺められる構造となっていました。
薬師如来像
薬師如来像が祀られる宮殿は東向きに設置されています。背後の方角が西となり明るい自然光が差し込むような仕掛けとなっています。
西に向かってお参りすることで、浄土に向かってお参りをすることになります。
西方浄土から光が入ってきます。西方浄土とは、仏教における阿弥陀如来を教主とする西方の浄土です。人間界から西方に十万億の仏土を隔てた所にあるとされている極楽浄土です。
西方浄土の光が格子窓から、朱塗りの壁に囲われた宮殿に差し込みます。
宮殿の大扉を開けると内部に光が立ち込め、御本尊を朱赤に染められます。四方を朱赤の格子と壁に囲まれて乱反射します。宮殿が真っ赤になります。御本尊を朱赤に染められます。
まさに極楽浄土が出現するという演出となります。神聖な空間をより厳かにより神々しく感じさせます。お参りするととてもありがたい気持ちになります。
なお、安藤忠雄さんによれば、鎌倉時代に京都の東大寺南大門などを手掛けた重源というお坊さんが、兵庫県小野市に建立した浄土寺浄土堂からアイデアを得たとのことです。
本福寺水御堂には、西日が差し込む午後以降に参拝することをおすすめします。
本堂は、回廊を通ると。御本尊のある宮殿の裏に回れるようになっています。巨大な朱色の格子に挟まれた回廊は採光により、壮厳な雰囲気となっています。雅な世界を演出しています。
安藤忠雄さんが設計・建築
本福寺水御堂は、三洋電機の創業者である井植歳男さんの菩提寺となっています。井植歳男さんは三洋電機が大きくなったら、お寺を立て替えると住職と約束していたそうです。
ただ、井植歳男さんは約束を果たせないまま亡くなりました。約束を引き継いだのが井植歳男さんの息子で元三洋電機会長の井植敏さんでした。
井植敏さんが、お寺を建て替えるにあたって相談したのが世界的建築家の安藤忠雄さんでした。安藤忠雄さんにとっては寺院の設計と建築は初めて経験となりました。
安藤忠雄さんは、全国各地の寺院建築を巡りました。真言宗の研究を重ねました。その結果、楕円形の円柱のコンクリートの構造物の上は、巨大な水盤が載せられています。
寺院は地元の有力者が権力の象徴として、本来大屋根を構えることが慣わしとなっていますが、本福寺水御堂には該当しません。屋根にシンボルの蓮池があるというユニークでモダンな外観となります。
仏教の原点となる蓮の中となる地下に本堂がある建物となります。
当初は、住職をはじめ300余りの檀家が一斉に反対しました。そこで、京都で有数の規模となる禅宗寺院の大徳寺に当時90歳を越える立花大亀和尚という有名なお坊さんに教えを請うことにしました。
「仏教の原点の蓮の中に入るということは一番良い姿となる。自分も冥土へ行く前に見たい」というありがたいお言葉から、将来の淡路島が誇る宝となると全員が賛成したそうです。
井植敏さんをはじめ、住職や檀家の皆さんが、将来も先祖代々まで淡路島にお参りにきてくれるように、若者が感動する新しい時代のお寺になるようにと願って建立されました。
井植歳男さんの記念碑も建立されています。
本福寺水御堂のアクセス
本福寺水御堂(ほんぷくじみずみどう)のアクセスは、自動車と高速バスとなります。
自動車の場合
自動車の場合、神戸方面からお越しの場合と、徳島方面からお越しの場合で、高速道路の最寄りとなるインターチェンジが異なります。
神戸方面からお越しの場合
神戸方面からお越しの場合は、高速道路の神戸淡路鳴門自動車道の淡路インターチェンジで下ります。淡路インターチェンジから約10分で本福寺水御堂に到着します。
淡路インターチェンジの出口を左折して国道28号線を進みます。大磯交差点の信号を通過します。左手にヤシの並木を通過すると右手に大きな本福寺水御堂の看板があります。
本福寺水御堂の看板に従って右折して坂道を登っていくと本福寺水御堂の駐車場に到着します。
徳島方面からお越しの場合
徳島方面からお越しの場合は、高速道路の神戸淡路鳴門自動車道の東浦インターチェンジで下ります。東浦インターチェンジから約10分で本福寺水御堂に到着します。
東浦インターチェンジの出口を左折して県道460号線を進みます。浦交差点を左折して国道28号線を進みます。中浜交差点、浦港交差点を通過します。左手に大きな本福寺水御堂の看板があります。
本福寺水御堂の看板に従って左折して坂道を登っていくと本福寺水御堂の駐車場に到着します。
高速バスの場合
高速バスの場合は、JR三宮駅、JR舞子駅、新幹線新神戸駅から淡路島行きの高速バスが運行しています。本福寺水御堂には、本四海峡バス大磯号もしくは西日本ジェイアールバス大磯号を利用します。
最寄り駅は、大磯港高速バスターミナルもしくは東浦バスターミナルとなります。
大磯港高速バスターミナルで降車すると徒歩で約10分で本福寺水御堂に到着します。東浦バスターミナルで降車すると徒歩で約15分で本福寺水御堂に到着します。
大磯港高速バスターミナルで降車する場合
- 高速舞子-大磯港高速バスターミナル:乗車料金620円、所要時間20分
- 三宮バスターミナル-大磯港高速バスターミナル:乗車料金930円、所要時間45分
- JR新神戸駅-大磯港高速バスターミナル:乗車料金930円、所要時間55分
東浦バスターミナルで降車する場合
- 高速舞子-東浦バスターミナル:乗車料金620円、所要時間25分
- 三宮バスターミナル-東浦バスターミナル:乗車料金930円、所要時間50分
- JR新神戸駅-東浦バスターミナル:乗車料金930円、所要時間60分
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