北淡震災記念公園は、淡路島で阪神淡路大震災の野島断層を保存展示する施設です。震源に最も近い活断層です。約140メートルに及ぶ震災で隆起した部分を当時のまま展示しています。
コンセプトは、阪神淡路大震災を風化させず、地震の破壊力から自然の脅威を感じて、防災の意識を高めることです。阪神淡路大震災の遺構を物証として保存することで地震の教訓を継承しています。
断層では、地表にむき出した断層や崩れた道路などを見学します。体験では、阪神淡路大震災と東日本大震災の震度7の地震の揺れの違いを体感します。地震に強い家では、地震発生時の散乱した台所や針が止まった時計など一軒家を見学します。他に、防火壁やパネル、模型や写真などで学べます。
阪神淡路大震災の遺構を通じて、地震の教訓を学べます。今後も発生するといわれている大地震について自然の脅威を知り、防災の大切さを学ぶ施設となっています。一度は足を運んでほしい場所です。
なお、淡路島の観光については「淡路島観光スポットおすすめ40選」の記事をご参照ください。
北淡震災記念公園の概要
北淡震災記念公園には、震源地の最も近い断層を展示する「野島断層保存館」、阪神淡路大震災と東日本大震災の震度7の地震の揺れの違いを体験する「震災体験館」があります。地震の脅威を伝えます。
屋外展示として、阪神淡路大震災の揺れに耐えた強い家として「メモリアルハウス」、神戸大空襲に耐えて阪神淡路大震災に耐えた「神戸の壁」などがあります。地震に備える大切さを学びます。
この他、淡路島のグルメを楽しめるレストラン、淡路島の特産品を販売する物産館、美しい夕日を眺められるハートのモニュメントがあります。1998年に北淡町震災記念公園としてオープンしました。
なお、エントランスに受付とトイレがあります。車いすとベビーカーの貸出を行っています。
詳細・基本情報
- 住所:〒656-1736 兵庫県淡路市小倉177
- 電話:0799-82-3020
- 公式サイト:https://www.nojima-danso.co.jp/
- 営業時間:9:00~17:00、レストラン(10:00~15:30)
- 定休日:年中無休(12月に臨時休業あり)
- 入館料金:大人700円、中高生300円、小学生250円
- 駐車場:無料(普通200台、大型50台)
- 車椅子とベビーカーの貸出:エントランス受付で貸し出し可能
阪神淡路大震災の活断層や資料を展示
北淡震災記念公園の野島断層保存館は、阪神淡路大震災で露出した震源地の最も近い活断層「野島断層」を保存展示しています。140メートルにわたり、むき出した断層や崩れた道路などが当時のままの状態です。
野島断層は、阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)の震源地の最も近い断層です。淡路市北部の江埼灯台から富島地区にかけて約10キロに伸びている活断層となります。
淡路市が活断層の一部を保存して、文部科学省から「天然記念物」に指定されています。
1995年1月17日午前5時46分に発生した阪神淡路大震災は神戸市六甲から淡路島に延びる断層帯のズレから発生しました。マグニチュード7.3、国内初の震度7を観測しました。
犠牲者は6434人に達しました。住家被害は全半壊で24万棟以上で約46万世帯に及びました。被害総額は約10兆円規模に達しました。地震災害・自然災害で、東日本大震災に次ぐ被害規模です。
縦揺れの直下型地震として、地震の揺れの大きさでは東日本大震災を凌いでいます。
国指定天然記念物「野島断層」
断層保存ゾーンでは、国指定天然記念物である「野島断層」を見学することができます。地表に露出した野島断層を140メートルにわたり保存展示しています。
むき出した断層、崩れたアスファルトの道路、割れた側溝などが当時のままの状態です。
阪神淡路大震災では、断層南東側が南西方向に約1メートルから2メートルの横ズレをしました。同時に南東側が約0.5メートルから1.2メートルの隆起をして逆断層となって断層面が地表に露出しました。
アスファルトの道路は、横から見ると断層部分で上下に分断されています。上から見ると断層部分で左右に分断されています。上下のズレが53センチ、左右のズレが130センチとなります。
通路を歩きながら、上下左右のズレを見学できます。断層による様々な地形の変化は、カメラやパネルの解説により観察できます。様々な地形の変化が見られます。地震の破壊力に驚かされます。
野島断層の側面から、断面が見られるトレンチ展示や触れる断層のコーナーがあります。くっきりした断層の割れ目から、縦揺れの直下型地震で断層が大きくずれて、地面を押し上げた様子が分かります。
地震の巨大エネルギーや自然の脅威を伝えています。
断層の断層活動の種類と違いが分かる模型の体験コーナーがあります。活断層は、特に数十万年前以降に繰り返して活動している断層のことです。将来も活が予想される断層です。
断層活動の種類としては、正断層、逆断層、横ずれ断層の3種類があります。正断層と逆断層は、上下方向にずれる断層で縦ずれ断層と呼ばれています。
正断層は断層同士が引っ張り合いずり下がる断層、逆断層は断層同士が押し合いのし上がる断層、横ずれ断層は断層同士が水平にずれ動く断層となります。
なお、日本の内陸で発生する地震では、中部地方から西日本にかけては横ずれ断層型が多く、東北地方などの北日本では逆断層型が多いといわれています。
阪神淡路大震災の写真や模型、地図
北淡震災記念公園のエントランスには、阪神淡路大震災で倒壊した国道43号の様子を再現した模型を展示しています。阪神淡路大震災の当時の写真パネルが飾られています。縦揺れの直下型地震の破壊力が伝わります。
阪神高速道路が635メートルにわたり倒壊した神戸市東灘区の写真は、縦揺れの直下型地震の破壊力を知らしめたハイライトとなっています。17基の太い橋脚が根元から折れていました。
阪神淡路大震災を記録した地図が展示されています。震源地と震度7の地域分布となります。震源地は、淡路島と神戸市を隔てる明石海峡の真ん中の地点です。現在の明石海峡大橋の東側となります。
震度7を記録したのは、震源地の淡路島北西部の野島断層周辺と、神戸市須磨区から西宮市の幅約1キロ、長さ約20キロの地域です。神戸地域は、震源から離れていますが、帯状の軟弱地盤の地域です。
六甲山から軟弱地盤に伝わる地震と、岩盤から真上に伝わる地震で揺れが増幅しました。当時は震災の帯と呼ばれました。阪神淡路大震災の模型や写真、パネルから、地震の脅威を学ぶことができます。
阪神淡路大震災と東日本大震災の揺れを体験
北淡震災記念公園の震災体験館では、阪神淡路大震災と東日本大震災の震度7の実際の地震の揺れの違いを体験できます。1回の定員は10名です。混雑状況によりどちらか片方だけの体験となる場合があります。
直下型地震と呼ばれる阪神淡路大震災を再現した約40秒の縦揺れを体験できます。地震直後の激しい縦揺れが組み込まれた地震プログラムです。2015年のリニューアルにより、海溝型地震と呼ばれる東日本大震災を再現した約1分の横揺れを体験できます。徐々に揺れが大きくなる地震プログラムです。
震災シアターでは、阪神淡路大震災に加えて東日本大震災の被災状況を伝えています。阪神淡路大震災と東日本大震災の映像や南海地震への備えの映像をご覧いただけます。
リニューアルされた映像では、東日本大震災で多くの犠牲者を出した津波が登場します。海溝から伝播された津波は水深が浅くなるに連れて速くなります。砂浜に到達する頃には、時速40キロを超えます。
10メートルを超える津波が時速40キロで迫ってくることになります。阪神淡路大震災の直下型地震の縦揺れの脅威に加えて、東日本大震災の海溝型地震の津波の脅威を実感することができます。
メモリアルハウス
北淡震災記念公園のメモリアルハウスでは、断層が横切り震災の被害に遭ったが、ほとんど壊れなかった民家を「地震に強い家」として公開しています。
断層がわずか1メートルほどずれて通り、家の塀や花壇の煉瓦がずれた様子、当時の台所も再現されています。
震度7の激震に耐えた「地震に強い家」は、木造住宅ではなく鉄筋コンクリート住宅となります。地震の揺れに耐えるための住宅の土台となる基礎の耐震設計がしっかりしていたことが理由です。
被災直後のままの台所は、地震の衝撃により散乱しています。時計の針が5時46分を指して止まっていることはリアルです。断層の真上にある壁や床は壊されて、約30センチの断層のずれができています。
メモリアルハウスでは、震災の語りべの体験談を聴くことができます。毎週火曜日の10時から12時まで、14時から16時までの2回開催となります。
神戸の壁
北淡震災記念公園の神戸の壁は、第二次世界大戦中の神戸大空襲に耐えて、阪神淡路大震災に耐えた神戸市長田区の公設市場にあった延焼防火壁です。周辺建物が倒壊全焼した中で「神戸の壁」だけが耐えて残りました。
「神戸の壁」は震災の記憶を風化させないための震災の遺構として保存されることになりました。神戸市で保存ができなくなり、2000年から淡路市津名地区に移設されて、2009年から阪神淡路大震災の教訓を後世に伝える観光施設としてオープンした北淡震災記念公園に移設されました。
神戸の壁は神戸市長田区の若松市場の防火壁として昭和初期に建造されたものです。震災から得た教訓と防災に対する意識を発信しています。
「神戸の壁」の周辺には、2019年から26脚の椅子のオブジェが設置されています。震災から24年となる17日を前に、壁の保存活動に取り組んでいる現代美術家の三原泰治さんが創作しました。
2015年から毎年1月に十字架の人影を映すライトアップが行われています。椅子を利用した壁のライトアップとともに、阪神淡路大震災の犠牲者への鎮魂の祈りがささげられます。
椅子のオブジェは、木製の小型のイスを壁と同様の色に塗り、発生した「0年」から2019年の「24年」、今後の壁の活用を願うために「千年」を加えた、26脚を展示しています。
「神戸の壁」の移設10年を記念して、歴史を映す「影絵の投影会」が行われました。リメンバー神戸プロジェクトのメンバーや淡路市の関係者、壁の所有者だった山下都子さんが参加しました。
三原泰治さんの絵画25点、震災後の長田の光景、住民の保存活動、移設作業の様子など、数奇な運命をたどった壁の歴史が映されました。物質的な語り部として大切さを伝えています。
レストラン
北淡震災記念公園のレストランでは、地元淡路島の食材をふんだんに使った料理を提供しています。瀬戸内の播磨灘を眺めながらゆっくりと料理を楽しめます。
淡路牛、淡路島玉ねぎ、淡路米など淡路島の食材を使ったご当地グルメ「淡路島牛丼プロジェクト」の参加店です。たこ丼も評判です。地元特産の「びわ」を使用したびわソフトクリームはおすすめです。
- 営業時間:平日10:00~15:00、土日祝10:00~15:30
物産館
北淡震災記念公園の物産館では、地元淡路島の特産品を販売しています。
淡路島玉ねぎ、淡路島のり、淡路島くぎに、地元の特産びわのお菓子、淡路島玉ねぎのお菓子、淡路島玉ねぎのスープ、淡路島牛乳などを販売しています。なお、防災グッズも多数販売されています。
ハートのモニュメント
北淡震災記念公園のハートのモニュメントは、愛と絆を誓い合う聖地として、インスタ映えスポットとして人気です。北淡震災記念公園は、小高い丘から播磨灘の美しい夕景が眺められます。
淡路島の西海岸は、淡路サンセットラインと呼ばれています。瀬戸内海の播磨灘に沈む夕陽は、日本の夕陽百選にも選ばれている夕陽の名所となっています。
淡路市制10周年を記念して、2016年に日時計が付いたハートのモニュメントが登場しました。北淡震災記念公園から播磨灘に沈む美しい夕日を見て、明日への希望を持ってもらおうと建立されました。
高さ約2.4メートル、幅約2.7メートルで、直径16.5センチのステンレス製パイプでハート型を描いています。設置場所は、野島断層保存館の入り口近くとなります。
最近では、愛と絆を誓い合う聖地として、播磨灘の夕陽の絶景スポットとして人気があります。
べっちゃないロック・慰霊碑
べっちゃないロックと慰霊碑があります。べっちゃないロックは、ピラミッドを三つ並べたような石のモニュメントです。「べっちゃない」は淡路島の方言です。「大丈夫」とか「たいしたことがない」という意味です。
慰霊碑には、淡路市北淡地区で犠牲となった人々約40人の名前が刻まれています。周囲に堀に水が流れています。ライトアップされるように電球が設置されています。
皇后陛下の御歌碑
皇后陛下の御歌碑は、1995年1月31日に、天皇皇后両陛下がヘリコプターで、淡路島に降りられて、被災者への励ましの心を込めて詠われた歌です。
「被災せし 淡路の島へヘリポート かのあたりにも よもぎ萌えるむ」
震災の語りべ
北淡震災記念公園の震災の語りべは、体験談をもとに当時の様子、地域交流の大切さ、地震に対する備え、命の大切さなどを語ってくれます。
震災を風化させないよう自らの体験を未来に活かせるよう語ります。阪神淡路大震災を団体で研修できる場所としてのニーズが高まっています。
阪神淡路大震災の3年後の1998年4月2日に開園してから、2017年度末までの累計の入場者数は900万人を突破しています。
ただ、オープン初年度の約282万人から減少が続いており、2017年度は約13万6000人でした。
他方で、修学旅行・校外学習・防災学習・研修旅行などで学校や行政など多くの団体がセミナーハウスを利用して参加できます。直近10年間で約170団体から約280団体と年間利用団体が増えています。
断層は地震の「物証」となります。断層を一目見れば、自然の脅威を実感して備えの大切さを理解できます。北淡震災記念公園は減災意識の向上に役立っています。
約20人の語り部たちは「証言」となります。全国の災害被災地に足を運んで震災について学んで自らの言葉で教訓を伝えています。自治体や企業の防災研修に出向しています。
北淡震災記念公園のアクセス
北淡震災記念公園のアクセスは自動車のみとなります。
自動車の場合
自動車の場合、神戸方面からお越しの場合と徳島方面からお越しの場合で、高速道路から下りる最寄りのインターチェンジが異なります。
- 住所:〒656-1736 兵庫県淡路市小倉177
- 電話:0799-82-3020
- 駐車場:無料(普通200台、大型50台)
神戸方面からお越しの場合
神戸方面からお越しの場合、神戸淡路鳴門自動車道の淡路インターチェンジから下ります。一般道を走行すること約20分で、北淡震災記念公園に到着します。
徳島方面からお越しの場合
徳島方面からお越しの場合、神戸淡路鳴門自動車道の北淡インターチェンジから下ります。一般道を走行すること約10分で、北淡震災記念公園に到着します。